*このエッセイは、ビッグウッド代表 大木 政春によるものです。
 「ビッグウッドのフードに対する想いやこだわり」をみなさんにお伝えできたら幸いです。




ドッグフード奮闘記
Vol.16 「社会への貢献」


私が自分との葛藤で苦しんでいるその時、私の卑屈さを吹きとばしてしまうような出来事がありました。

ある方の講演会に出席させていただくことになり、その講演を聞いているうちに、身体に熱い物があふれてくるのを感じたのです。
記憶の奥底をたどっているので一字一句を正確に覚えているわけではありませんが、私の卑屈さや葛藤を一掃したその講演の内容を、記憶に残っている『想い』として紹介させていただきます。
講演の中で、経営の神様と言われる松下幸之助さんのお話がでました。
ある新聞記者の方が、松下さんに「あなたは、商品を右から左にいとも簡単に売ってもうけたお金で喜びを感じているようですが、なにが嬉しいのですか?どこが幸せなのですか?」と問いかけたそうです。
そして、その問いに松下さんは次のように答えたそうです。
「なにも嬉しくありません。自分の為に商売しているのではありませんから。
ただ、私が商売して利益を得ないと多くの人が飢えてしまうからです。」
そして、もう一人のアメリカのマイヤーさんという大富豪の方のお話もされていました。
マイヤーさんも同じような質問があった時、こう答えたそうです。
「私が商売をし、利益を出さないと世界中の多くの恵まれない子供達を助けられないのです」
松下さんもマイヤーさんも実際に赤十字を通しての寄付を毎年続けられているそうです。
世界中の餓死寸前の子供達を何万人も飢えから守っている計算になるのでしょう・・・。
講演された方は、『そのやりとりに未来の人間のあるべき姿を見、人間の偉大さを感じ、感動したのでお伝えします』とのことでした。

講演を聞きがら、私は心の底から自分を見つめ直し、次にやるべきことがはっきり見えてきました。
私の卑屈さ・・・なんと小さいことか!恥ずかしい!自分のそもそもの志や夢はなんだったんだ・・・。
アトムを亡くし、そのアトムと同じように病気で苦しむ愛犬たちを救ったり、自分と同じような過ちを他の飼い主さんたちにもして欲しくないという温かいものは、一体どこに行ってしまったのか。
自分の思い描く愛犬との豊かな暮らし(犬文化)作りの夢はどうなるんだ!
そしてそのことに協力してくれた多くの人たちは、どうなるんだ!
自分勝手のわがままなひとりよがりはやめよう!
他人の顔色をうかがいながら卑屈になっているよりも、そうなってしまう自分の生き方の根底を恥ずべきなのだ!
今すぐやり直せ!今すぐ人間本来の温かみを呼び戻せ!
そしてもっと人間らしく生きることに精を出せ!
そして、人間として本来あるべき姿である温かいもののために、全エネルギーを傾けることを決意しました。

自分自身の考えを根底からおもいっきりひっくりかえされた講演でした。
この講演をきっかけに「金儲けの道具にしたくない!」という狭い考えをやめ、「人間らしく、温かく、社会への貢献を喜びにすること』を自分の重大な使命と謙虚に受け止めました。
そして気持ちも新たに再スタートすることとなりました。

Vol.17につづく)