*このエッセイは、ビッグウッド代表 大木 政春によるものです。
 「ビッグウッドのフードに対する想いやこだわり」をみなさんにお伝えできたら幸いです。




ドッグフード奮闘記
Vol.17 「理想と現実」


気持ちも新たに再スタートをきったものの、いざ動きはじめてみると、意気込みだけが空回り・・・最初はそんなことの連続でした。

愛犬や愛犬家の方にアトムへの五目御飯を使っていただくには、少しでも多く目に触れることのできる場所、ペットショップやブリーダーさん、獣医院に置いてもらうのがまずは得策、と考えました。

東京都内で1300件。門前払いされたところをのぞいては、最低でも3回は足を運んだと思います。
明けても暮れても、ペットショップや獣医院を回る毎日が続きました。
もちろん、販売ができればそれで良しとは考えていなかったし、他の商品と同じように扱われるのも嫌だというプライドがあったので、いわゆる『普通の商品を売り込む営業』ではなく『コンセプト重視の売り込み』になったわけです。
商品を売り込むよりは、想いや志を売り込みたいと考えました。

しかし、そこで、私は自分の熱い想いと、世間との温度差を思い知らされてしまいました。
それは、憤りを感じてしまうほどでした。

決まって言われたのは、この言葉でした。「理想と現実は違うんだよ!」
売りやすくて買いやすいもの、TV宣伝でネームバリューのあるものを消費者は求めている。
その消費者のニーズにあったものを販売するのが我々販売する側の役目なのだ。
大きな会社のやっていることだからそれで安心である。・・・etc。

愛犬の本来の健康や食の本来のあるべき姿、ましてやフードの中身がどのようなものでどのように作られているかなどは、論外といった感じで、全く問題にもされませんでした。
そこには、愛犬を思う温かいものや、健康や豊かな暮らしについて真剣に考えることなどどこにも存在していないように思えました。
自分の情熱が熱すぎたり重過ぎたりすることを痛切に感じながらも、私は落胆を感じていました。

しかし、こんな無駄な時を過している場合ではない!
こんな無駄な時間を費やすならば、自分のために、愛犬アトムのために、もっともっといいものを作りたい・・・ 次第にそんな気持ちになってきました。
我が愛犬アトムが、開いた口の横から大きな舌を思いっきり出して嬉しそうに微笑んでいる表情がいつも脳裏を掠めました。

そうだ! どうせならアトムを生き返らせる位のフードを作ろう!

そして、健康と名が付く本を片っ端から読み、会える人とはどこまでも出かけていって会っていただき、情報をかき集めました。
そんな時、また偶然にも幸運な出会いがありました。
アメリカの偉大な自然治療家の先生達を数十年にわたって自費で取材しているというジャーナリストと出会えたのです。
そして、そのジャーナリストの方から自然治療家の先生を紹介していただけることになりました。

Vol.18につづく)