そのうち、たびたび食べたものを吐き戻すようになり、病院では風邪との診断を受けました。抗生物質の注射を3本打ち、栄養の吸収がうまくいっていないからと、市販のフードから病院の勧める点滴の代わりにもなるという栄養価の高い医療食に切り替えましたが、吐き戻しはおさまりません。ハッピーは、浮き出た肋骨が傍目からも分かるほどみるみる痩せていきました。なにしろ初めて迎える犬で、わからないことだらけです。私の不安はふくらむ一方で、セカンドオピニオンを得ようと他の病院で採血、エコー、レントゲンなどの検査を受けました。診断は肝機能障害と心臓肥大というもの。私たちはショックをかくしきれませんでした。肝臓がつくりだす酵素自体が少なく消化吸収もうまくいかない、栄養が身体にいきわたらず、心臓もその分血液を送り出すのに懸命に働かなければならずに負担がかかった結果肥大してしまった、ということのようでした。まだ1歳にも満たない仔犬だというのに、身体を作ることもままならず、体力も気力もないハッピーは疲れやすく、散歩の途中でもすぐに座り込み、家に帰ると倒れこむように横になっていました。「食べる」ことへの意欲すらあまり無いようで、食べても吐き出してしまうことが多く、食事の時は常にフードをやわらかくしたものを少しずつ口もとに運んであげなければなりませんでした。眠っている時の呼吸も苦しげで、いつ息が止まってもおかしくないとハラハラするほど頼りないものでした。
|