今月のエッセイ&イラスト
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Vol.34「内島さんのおばあちゃん」 |
私のエッセイ教室に通ってくる内島さんのおばあちゃんは、最年長の78歳。ご主人を亡くしてから、 たった1人きりで、数ひきのねこといっしょに、大きな家に住んでいる。 内島さんは、78歳とは思えない程、健康で、明るくて、おしゃべりが大好きだ。趣味は食べ歩きや、 旅行らしいが、戦前戦後を生き抜いてきたたくましさも手伝って、豊かな経験とともに、私など、 内島さんの前でははねとばされてしまいそうだ。 しかしなんといってもユニークなのは、内島さんが、いっさい電気を使っていない生活をしていることだ。 内島さんは、そういって、いつもからからと楽しそうに笑う。 だが、高齢で、1人暮らしだし、もしなにか、あったときのためにと、内島さんは、ある日警察に 出向いていった。すると、警察の人は、携帯電話を用意してくださいと、彼女にいった。 携帯があれば便利だし、とっさのときに電話してもらえれば、すぐに飛んでいきますと。 内島さんは、さっそく携帯電話を購入したという。 「充電をするには、電気がいるわ!」 だけど、内島さんのところには、電気がきていないのである。 そのことに気がついたとき、内島さんはまたからからと笑ったという。 「今はね、センセ。携帯も使ってないの。もちろん、電気もね」 |