飼い主と飼い犬は、似るのだろうか?
私は、子どもの頃から、1人でいるのが好きだった。
グループでの活動や、協力してなにかを仕上げるというのが、にがてでたまらなかっ
た。
みんなの輪からはみだして、なにか1人で空想しているのが、性にあっているのである。
それは、おとなになってからも、まったく変わらず、年々激しくなるようだ。
私の飼い犬ライオンが、なんだか、私の性格を受け継いでしまっているなと気がつい
たのは、公園に散歩にいくときである。
丘の上の公園は、犬の散歩をする人たちで、いつもにぎわっている。
たいていが、顔見知りだから、当然犬たちも顔見知り。犬たちは、楽しそうに群れて、
軽く鳴きあい、しっぽをふり、ひとかたまりとなって遊ぶのだ。
私は、幾度どなく、ライオンにいってあげた。「みんなと一緒に遊びなさい。おもし
ろいよ」
ところが、ライオンときたら、「ううん、ぼくひとりでいいの」とでもいうふうに、
犬たちから、離れたところで、草のにおいをかいだり、足で土をひっかいたりする。
ときどき、よその犬が、「遊ぼう!」とライオンを呼びにくるけど、ライオンは、あっ
さりとことわってしまう。しかし、それでいて、ライオンは楽しそうなのである。
草とたわむれ、ひとりで、どこまでも走り、大好きな匂いに出会い、私と触れあい…
私は自分の子どもの頃に、そっくりだなと思いながら、ライオンの頭をたくさんなで
てあげる。
ライオンは、くすぐったそうに目を細める。
もうすぐ、ライオン13歳の誕生日がやってくる。
|