今月のエッセイ&イラスト

Vol.25「決心」
文・堀 直子(児童文学作家)/写真・藤城 薫

 

それは、突然私の中に降って湧いたような想いだった。安住の場にまるで、背を向けるようにして、困難な道を選ぼうとしている自分に気がついたとき。

光あふれるおだやかな道を、私は、なぜ、歩こうとしないのだろうか?
なぜ、岩だらけの道を、私は、進みはじめるのか?

もうそろそろいい年なんだから、落ち着けばいいのに!なんて、まわりから声が飛び交いそうだ。
だけど、何かを手にいれるために、失ったものが、あったはずだ。

私は、いま、それを取り替えそうとしている。
それは、豊かな自分自身の心。

心を押しつぶしては生きてはいけないのだから。
私は、もっと心のままに自由な自分を生きていきたい。

そして、だれにも文句はいわせない。
生きたいように生きること。その心地よさとそのむずかしさを、てんびんにかけながら、私は、困難な道を選ぶ。

それが、私らしいのだ。
私らしく生きられれば、もうなにもいらない。
風のように、犬を連れて。 

Back Number