今月のエッセイ&イラスト

Vol.11 「ストレスの行方」
文・堀 直子(児童文学作家)/写真・藤城 薫

 

私は、いま三人の編集者と仕事をしている。
最近知り合った若い女性編集者と、古くからのなじみの三十代のこれもまたはつらつとした女性編集者は、最高の仕事仲間であるが、I書店のTという編集者は、どうも調子が狂う。
この人と仕事をするようになって、私は、ストレスがたまりっぱなしである

順調にいっていたら、去年の暮れには刊行できたはずの私の本はいまだに出ていない。
本の出版時期を延ばされ延ばされして、とうとう今年の夏まできてしまった。

なんといっても腹がたつのは、Tがちっとも約束を守らないこと。
いつも言い訳がましいことばかりいっていること。
仕事を抜きにしても、人間として尊敬できる人物ではないことだ。

人間として当然備えているべき思いやりや誠実さを、あの人は、いつから忘れてしまったのだろう。子どもの本を作っているくせに。
それに引き替えて、女性編集者たちの、明るくこきみよいこと。
彼女らと仕事ができるのを唯一のはけ口として、この夏を乗り切ろうか。
それにしても、暑さ以上に熱くなっている私のストレス。

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