今月のエッセイ&イラスト

Vol.9 「おいしい たまごのために」
文・堀 直子(児童文学作家)/写真・藤城 薫

 


長崎市のとなりの諌早市に、大型のゴミ焼却場ができるというのを聞いて、
私のところに、新鮮なたまごを届けてくれる農園の方々が心配をしている。
諌早市では、900度C以上の高温でゴミを焼却すれば、ダイオキシンが発生しないから、
そのために、遠く島原半島から大量のゴミを諌早市に持ち込んで、大型の焼却場を作る必要があるといっているのだが、
300億円を費やして、焼却場を作る理由がいったいどこにあるのだろうか。

ダイオキシンは、不完全燃焼が起きれば、たちどころに発生するだろう。
休みなく高温で焼却炉を運転するなど、不可能に近いのだ。
私たちにたまごをわけてくれる農園は、焼却場の候補地の近くにあるので、みんなの不安はなおさら増す。

大事なのは、ゴミを出さないこと、これ以上空気や大地を汚さないことだ。再利用を徹底して、グリーンコンシューマーを名乗り、大量生産、大量消費の社会と、さよならすることだろう。
おいしいたまごを生んでくれるにわとりたちが、健康な大地に茂る草や、虫を、永遠に食べつづけてくれるように願いながら、
私は、署名運動にこの頃、明け暮れている。

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