今月のエッセイ&イラスト

Vol.5 「ライオン日記(3)」
文・堀 直子(児童文学作家)/写真・藤城 薫

 

夜休むとき、わたしは、わたしの枕元で眠るライオンの寝息が、おだやかでいつも 規則正しいか、耳をじっとすましている。
なんともかわいらしい音。小鳥のような。すっかりと安心しきって、からだも尾も 丸く綿毛のようになって。
ひなたの匂いとあたたかい草のにおいがする。
ライオンは、どんな夢をみているのだろうか。ライオンの夢に、わたしは、でてくるのだろうか。
一日の仕事を終え、どんなにぐったりとしていても、わたしは、ライオンの寝息を聞きのがさない。
なにか、少しの変化でもあったら?
聞きのがさないで、ライオンの心と向かい合おう。
いつまでもわたしのそばで、ライオンの安らかな寝息がこだますように。
ライオン、十一才の誕生日にむかって、いっしょに歩こうね!
わたしと!

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